元厚生労働次官連続殺傷事件に思う
さいたま、東京と連続で発生した元厚生労働省次官連続殺傷事件が世間を騒がせている。同じような時刻に同じような手法で行なわれた犯行であることから、同一犯もしくは同一グループによる、政治的背景を犯行動機とした事件であるとの論調が一般的だ。要するに、年金改革の当事者に対して、その恨みを注ぐ意味合いでの犯行ということらしい。
私は、たとえどんな恨みがあるにせよ、人を殺めると言う手段は用いるべきでは無いと考える。なので、犯人を賛美する気もないし犯行を賞賛する気もない。ところが、ネットじょうでは恐ろしいことに、この犯行を称える意見が散見されるのだ。中には「これは天誅だ」などといった意見すら見受けられる。これには背筋が凍る思いがする。そんなに簡単に条件付きで殺人と言う行為を容認してしまってよいのだろうか。人々のココロの中には、そういう意見が多く潜んでいるのだろうか。
また、この事件は、上述したとおり、年金制度への不満から生じたと推測されている。そのことから、事件によって、厚生労働省の過去の不手際の追及や、年金制度に関わる厚生労働省への批判が行いにくくなるだろうことが予想される。と、思っていたら、案の定事件を厚生労働省批判の傘に利用しようとする声が聞こえてきた。
元次官殺害で野党やメディアを批判 津島氏
自民党の津島雄二税制調査会長は19日、元厚生事務次官らの連続殺傷事件に関連し記者団に「厚生労働省の仕事の成果を評価できないような論評ばかり行われている。その結果、理不尽な行為につながったとすれば本当に残念だ」と述べた。「マスコミも考えてもらいたい。責任があるのは『あれが悪い、これが悪い』という国会の議論だ」と指摘、野党やメディアによる厚労省批判に矛先を向けた。同時に「事務方で一生懸命にやっている人にゆがんだ批判を向けるのは良くない」と強調した。津島氏は元厚相で厚労族の幹部。(日本経済新聞)
違う。野党やマスコミに責任があるのではない。政府与党の政策を検証し、その不備を追及していくのが野党やマスコミの役割だからだ(中には政府与党に迎合するマスコミもあるが)。その仕事を放棄したら、野党の存在意味がなくなってしまう。責任は野党やマスコミにあるのではない。あくまでも、今回の事件を起こした犯人にあるのだ。
先日のトヨタ相談役奥田氏の発言もあり、マスコミはますます厚生労働行政の批判を行いにくくなっているだろう。しかし、これに怯むことなく、年金問題を取り上げていっていただきたい。


広島瀬戸内新聞ニュース Says:
11 月 20th, 2008 at 17:42:52
国会は、ビビらないでのびのびと議論することが最優先…
自民党津島派の領袖の津島雄二さん。
厚生次官経験者連続殺傷は野党とマスコミが起こした、と言い出しました。
事件を言論弾圧に悪用するセンスを疑います。
そうやって、政治…
冥王星 Says:
11 月 24th, 2008 at 18:17:30
本件に関して私見ですが、
冥王星は、自然権の行使として、政治主張のある抵抗権の正当性のあるテロであるならば、それは否定するべきではないと思っています。
冥王星は「テロ」を擁護するつもりはありませんが、ロックから規定されてきた自然権(人権にも含まれるものです)からテロを否定するのは、人権否定に近い部分を感じます。
さて、記事に関していくつか指摘を
>ネットじょうでは恐ろしいことに、この犯行を称える意見が散見されるのだ。中には「これは天誅だ」などといった意見すら見受けられる。
こういう状況は、「理性法」が意味を成さなくなった時代ということもあります。故筑紫哲也氏のケースでも同じようなもので、言動は軽いだけではなく、思慮も配慮も道徳心も欠けるものになってしまったようです。
こういう状況だからこそ、表現の自由の質を問い詰める必要性があるようですが、ネットのコメントの暴走は集団心理の
「赤信号みんなで渡れば怖くない」というベクトルで暴走してしまうのでしょう。
一人ならばまだ暴走しない理性があると信じたいのですが・・現実は分かりません。
>責任は野党やマスコミにあるのではない。あくまでも、今回の事件を起こした犯人にあるのだ。
責任論を行う状況と見地には立てません。
なにより、この犯人が犯行を行ったという確証さえ立証されていない状況では、責任論は性急ではないでしょうか?
日本の警察の誤認逮捕率は非常に低いです。しかし、逆説的に考えれば立件し有罪化できる犯罪だけしか取り締まらない(有罪だけど司法では勝てないというレベルの犯人は逮捕しない)ということですから、これも問題があるでしょう。
誤認逮捕率の低さが逮捕=犯人・・という決め付けを誘導し冤罪からの救済を困難にさせている事実を、松本サリン事件の河野さんの事例などからも考えるべきではないでしょうか?
cronoq Says:
12 月 2nd, 2008 at 10:42:24
>冥王星さん
鋭いコメントありがとうございます。
テロリズムを是認すべきかと言う問題、難しいですね。
政府が戦争や死刑と言った形で合法的に殺人を犯して
いるのと同様に、権力等に対して力をもってその要求なりを
通していく権利はあってもいいのかもしれません。
が、私にはどうも馴染みません。やはり短絡的な
やり方にしか思えないのです。
ネットでの言論暴走に関しては概ね同意いたします。
付け加えるなら、その暴走した言論のノイズの中に、
ネットにも存在するはずの思慮深い発言が埋もれてしまう
ことが非常に残念でなりません。
責任論のお話ですが、このブログを書いたのは、
実行犯とされる人物が出頭・逮捕される以前の話です。
私が「犯人」と書いたのは、国内のいずこかに
潜伏する真犯人を指して書いたものですので、
そのように読んでいただければと思います。